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異物誤飲について

解説 小川高(臨床部会長)
『先日、我が家のハッピー(トイプードル、雌、2歳)が、子供用のおもちゃの一部を飲み込んでしまったのですが、大丈夫でしょうか?今のところ元気ですが、心配です。』
このように、ペットが異物を飲み込んでしまったという事故は非常に多くみられます。今回は、異物誤飲について解説いたします。
 
1.異物誤飲の場合、何を飲み込んだかによって、大きく次の3つに分けて考えられます。
 ①飲み込んだもの自体の毒性(口、食道、胃さらに腸粘膜への障害と、胃腸から吸収された成分による
 障害)、②異物の存在による食物の通過障害(胃内容の排出障害、腸閉塞)さらに、③消化管穿孔(竹串
 、針、鋭利な異物)です。
 
  ① 飲み込んだもの自体の毒性
    鉛を含むもの、中毒性の食物(ネギ類、レーズン、チョコレート、マカデミアナッツ、アボガドなど)
          など。
 
  ② 異物の存在による食物の通過障害
    原因となっている異物には、とうもろこしの芯、桃の種、梅干しの種、石、ワインのコルク栓・・・
    など多種多様ですが、味が浸み込んでいて消化されない物は要注意です。
 
  ③ 消化管穿孔
    焼き鳥の竹串、たこ焼きの爪楊枝、糸のついた縫い針などの事例は多くみられています。
 
2.獣医師から飼主さんへの質問
 何を? いつ頃? どのくらいの量? 
 飲み込んだのかをできるだけ正確にお話しください。 飲み込んだ物の一部または、同じものがある場合
 には、病院で獣医師に提示してください。
 
3.検査と治療
 ①~③の場合で、異物がまだ胃内に残存している場合には、催吐剤を注射して、胃内容を吐かせる処置が
 必要な場合があります。 
 
 ①の場合で、すでに胃から腸に達し、吸収されている場合には、点滴治療など
 で排泄を促進される治療を行う場合があります。 ただし、誤飲量が少量の場合には、無治療で3日間、
 自宅で状態の観察を行う場合もあります。
 ②③の場合で、催吐剤が無効な場合には、全身麻酔下での胃内視鏡処置により、異物鉗子で、異物を掴み
 だすことがあります。ただし、内視鏡異物鉗子で掴めない異物も多くあり(丸く大きく、表面を掴めない
 ボールなど)、この場合や腸閉塞や穿孔を発症している場合には、開腹手術が必要になる場合があります。
 
4.レントゲン検査で写る異物と写らない異物について
 レントゲン不透過性の異物(石、金属、骨など)は、レントゲン検査でその存在を確認することが可能です。
 しかしレントゲン透過性の異物(プラスチック、ビニール、ゴム製品、桃や梅干しの種、トウモロコシの芯、
 コルク)はレントゲン検査での確認が困難です。また異物表面の塗料によっては、レントゲン不透過性物質
 を含むことがあり、確認可能な場合もあります。
 
5.再発防止について
 飼主さん多くは、異物誤飲が偶然おこったものと考えていますが、通常は必然性があります。わかりやすく
 言いますと、その異物に興味や嗜好性があったために飲み込んでしまったと理解してください。 
 つまり、同じ物が周囲にあれば、また飲み込む可能性があるということです。 
 要注意です。
 

写真は、プラスチック製のボールを飲み込んでしまった後、胃内食物の通過障害がみられたラブラドールレトリバーです。レントゲン写真で赤矢印に示す異物像がみられます。

内視鏡での摘出は困難な異物のため、摘出手術を実施いたしました。

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