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ペットにとって危険な食べ物とは・・・? Part3

キシリトール中毒について
解説 小川高(小川動物病院)
ノンシュガー(砂糖が含まれない)ということで、キシリトールは我々人間にとっては虫歯予防、糖尿病対策など安心感のある健康的添加物として知られています。これが、動物にとって有害というのはどうしてなのでしょう・・・?
 
マウスウォッシュ、歯磨き剤、チューインガム、ミント、キャンディー、チュアブルタイプのビタミン剤など・・・キシリトール入りのシュガーレス製剤を犬・猫が誤って摂取した場合、30分以内に重度の中毒を発症し、場合よっては死に至る可能性があります。
どうして・・・?
霊長類(ヒト、猿など)以外(犬猫はもちろん含まれます)ではキシリトール摂取によりインスリン・スパイク(Insuline spike)と呼ばれるインスリン(血糖調節ホルモン)投与と同様の作用が体内で起こり、低血糖が発症します。
 
どれだけの量で・・・?
多くのキシリトール入り製剤(キャンディー、ガムなど)では、1gあたり約2mgのキシリトールが含まれています。 通常1個の製剤に120 ~170mgのキシリトールが含まれています。 
動物の体重1kgあたり0.1g(100mg)以上のキシリトールを摂取した場合には中毒量となります。この場合、インスリン(膵臓から分泌される血糖を下げるホルモン)の過剰分泌が起り、急性低血糖症を発症することになります。動物の体重1kgあたり0.5g(500mg)以上の高用量を摂取した場合には、急性の肝壊死を起こす危険性があります。
万が一、キシリトール製剤を誤飲してしまった場合には、どの位の量を、いつ摂取したのかが重要となります。その場合には、誤飲したキシリトール含有製剤その物を包装ごと獣医師に提示してください。そして誤飲した量と時間を知らせてください。
 
どんな症状がでるの・・・?
キシリトール中毒の一般的な症状としては、元気消失、虚脱症状、嘔吐、震戦、痙攣発作などです。肝障害量を摂取した場合には、黄疸、下痢、低血糖症状のほか、肝障害に伴う血液検査異常がみられます。
 
治療は・・・
血糖測定後、糖剤の輸液を行います。
低血糖を発症した動物では、入院による24時間の持続点滴が必要な場合があります。
肝障害を発症した場合には、ICU管理が必要となりますが、救命できない場合もあります。
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